兵庫県立ピッコロ劇団第39回公演 「天保十二年のシェイクスピア」

作=井上 ひさし 演出=松本 祐子(文学座)

 
   
■ ものがたり

時は天保、下総の国。清滝宿を仕切っているのは老侠客、鰤の十兵衛。お文、お里、お光の三人の娘の誰かに身上を譲って自身は楽隠居と考えた十兵衛、誰がいちばん孝行娘なのか、それぞれの父への思いを語らせる。心にもない美辞麗句を並べたてるお文、お里に対して、心根は優しいが口べたな末娘・お光はきれいごとが言えず、普通のことを飾らずに言うだけ。本心はお光に継がせたい十兵衛は、姉二人の上をいくきれいごとを言わせるために敢えて「出て行け! おとっつぁんをよろこばせるのがそんなにいやなのか」と怒鳴りつけるが、お光はその言葉をまともに受け取り、素直に従って出て行ってしまう。

それから三年経った天保十二年。十兵衛の縄張りを引き継いだお文とお里は、互いの亭主を親分に据えて、お文の側は「よだれ牛の紋太一家」、お里の側は「代官手代(小見川)の花平一家」と名乗り、親孝行はそっちのけ、隙あらば相手を潰そうと骨肉の争い。その上、野心に欠け争いを好まない亭主を見限って、お文は紋太の弟、蝮の九郎治を、お里は一家の用心棒、尾瀬の幕兵衛を、それぞれ情夫として亭主を殺させるのだが、幕兵衛は誤って鰤の十兵衛をも殺してしまう。

そこにあらわれたのが、醜い野心と醜い容姿を持ち合わせた男・佐渡の三世次。清滝の老婆から「おまえさんはこの清滝宿を一手に握ることになる」との予言を受け、清滝村の二つの家の争いに乗じて成り上がってやろうと画策する。

父の訃報をきいて渡世修行から帰ってきたのが、紋太とお文の一人息子・きじるしの王次。その王次の前に紋太の幽霊があらわれる。紋太を殺したのが本当は母・お文とその情夫・九郎治であるときかされ復讐を誓うが、実はこの幽霊、三世次が仕組んだ偽物であった。

復讐に生きると決めた王次は、許嫁・お冬を遠ざけるために「尼寺へ行け。女郎屋へ行け」と責め立て、その様子を立ち聞きしていたお冬の父・ぼろ安をも刺殺し、そのためお冬自身はショックで気がふれてしまうのだった。

そしてもう一人、清滝宿に帰ってきたのが三女のお光。紋太一家の賭場のいかさまを見破り、姉・お文や九郎治とひと悶着起こしたところを王次に救われた。恋に落ちる王次とお光。しかし紋太一家の若親分・王次と、次女・お里の花平一家に身を寄せるお光は敵同士、許されない間柄。

そんな二人の恋仲に関係なく、紋太一家と花平一家の間でいよいよ血を血で洗う抗争の幕が開こうとするが、新代官が清滝宿にやって来るという知らせが入り、急きょ手打ちに。しかしその代官・茂平太の妻・おさちが、なんとお光に瓜二つ。どうやら赤ん坊の頃に生き別れた双子の姉妹だったらしいのだが、このことがまた清滝宿に収拾のつかない混乱と惨劇を呼びこんで・・・。




鰤の十兵衛=隈本 晃俊 / お文=平井 久美子 / お里=森 万紀 / お光・おさち=樫村 千晶 /
よだれ牛の紋太・百姓隊員い=木村 保 / 小見川の花平 / 笹川の繁蔵・百姓隊員ろ=浅野 彰一 /
蝮の九郎治=岡田 力 / 尾瀬の幕兵衛・飯岡の助五郎=中川 浩三 / きじるしの王次=堀江 勇気 /
佐渡の三世次=橘 義 / 清滝の老婆=望月 森央 / 安中の老婆=木全 晶子 / 真岡の老婆=竹田 桃子 /
甲府の老婆=亀井 妙子 / 大間々の老婆=榎園 実穂 / 佐原の老婆=今井 佐知子 /
川越の老婆=田中 よし子 / 八王子の老婆=吉江 麻樹 / 飯炊きのおこま婆=小安 展子 /その息子佐吉=東 龍美 /
浮舟太夫=曽木 亜古弥 / お冬=増井 友紀子 / 土井茂平太・ぼろ安=森 好文 /
代官所の手付い=中川 義文 / 代官所の手付ろ=穗積 恭平 / 国定村の忠治=吉村 祐樹 / 清水の次郎長=濱崎 大介 /
利根の河岸安=原 竹志 / 隊長=孫 高宏 / 百姓隊員 は=やたりょうた / 百姓隊員 に=今仲 ひろし /
紋太一家の若衆=鈴村 貴彦 / 紋太一家の若衆=近藤 礼崇 / 紋太一家の若衆=近藤 慶一 /
紋太一家の若衆=加門 功 / 花平一家の若衆=鈴木 英之 / 
女郎=広瀬 綾子 / 女郎=角 朝子 / 女郎=野秋 裕香 / お光(影)=道幸 千紗 / 

美術=加藤 登美子 / 照明=西川 佳孝(ハートス) / 音響=須川 由樹(T&Crew) / 音楽=熊野 大輔・松本 英明 /
演奏=松本 英明(琴) / 松浦 美佳(ピアノ) / はたけやま 裕(パーカッション) / 熊野 大輔(キーボード) /
鏑木 知宏(マニピュレイター) /
振付=森田 守恒 / 殺陣=渥美 博 / 歌唱指導=中島 恵美 / 衣裳=中村 洋一(東京衣裳) / かつら=丸善 /
小道具=高津商会 / 大道具=つむら工芸 / 宣伝美術=黒田 武志(sandscape) / 稽古ピアノ=木下 出 /
演出助手=眞山 直則 / 演出部=髙家 礼子 / 舞台監督=鈴木田 竜二 /
制作=田窪 哲旨、田房 加代、横尾 慎二、大段 満里子 / 広報=古川 知可子 /
  
主催=兵庫県立尼崎青少年創造劇場

2011年(平成23年)
2月24日~27日 兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール
 
平成22年度文化庁芸術拠点形成事業