兵庫県立ピッコロ劇団第12回公演 「からゆきさん」

  作=宮本 研 演出=石澤 秀二

 

   
日露開戦前のシンガッパ(シンガポール)のステレツ(ストリート)には、娼館が建ち並びにぎわっていた。そのひとつ「二十六番館」の主人、巻多賀次郎は、多くの在留邦人と同時に、故郷天草の村に送金し続けていた。

貧しさゆえに故郷を離れた“からゆきさん”のミユキ、巴、モモヨ。多賀次郎の女房の紋、前妻のキノ。紋をたよって天草から出てきたアカネ。多賀次郎やキノとともに中国大陸を流れ歩いた福と国。それぞれに故郷も境遇も違う女たちが、ここ、「二十六番館」に身を寄せていた。

折りから、日露開戦を直前に控え、シンガポールの日本人たちは、日本の勝利を祈って湧きたっていた。忘れがたい日本への愛国心に胸高鳴らせ、“お国のために”と張り切る「二十六番館」の人々。


が、日本の大勝利と共に国策が変更され、“からゆきさん”たちは、無残にも切り捨てられていった。苦労を共にしてきた多賀次郎から棄てられても、なお炊事婦として「二十六番館」で起居をともにしてきたキノは、「世の中、だれが決めたか、すきもきらいも、ひろうも棄てるも男の勝手。女はせつない。でも、棄てられたら、棄てられたふりして、棄て返せ!」という言葉を残して朽果てるように死んでいく。

送還命令が出て、ステレツが消滅した日、そのキノの言葉を胸に、紋と“からゆきさん”たちは、あてのない旅に立つのだった。


語り手=本田 千恵子 / キノ=木全 晶子 / 紋=土江 教子 / アカネ=亀井 妙子 / 国=安達 朋子 / 福=土佐 倫代 /
ミユキ=平井 久美子 / 巴=和田 友紀 / モモヨ=谷山 佐知子 / トメノ・名士婦人2=本岡 銀子 /
操・娘1=今井 亜紀 / 藤尾・娘2=佐藤 君香 /女1・名士婦人1=島崎 鮎美 / 巻多賀次郎=高橋 健二※1 /
江連七之助=孫 高宏 / 政=瀬口 昌生 / 亀=福島 栄一 / 五和崎・英国水兵1=石本 興司 /
越前屋・マレー人=梁瀬 満 / 校長・領事・インド人=森 好文 / 女衒1=眞山 直則 / 女衒2=西川 真一 /
英国水兵2・西野医師=穂積 幸良 /
※1 高→髙

美術=板坂 晋治 / 照明=西山 茂 / 音響=金子 進一 / 舞台監督=村上 浩 / 照明操作=西山 茂 /
音響操作=金子 進一 / 殺陣=水木 真司 / 舞踊指導=森田 守恒 / 歌唱指導=乾 眞知子 /
方言指導=福田 信昭(劇団青年座) /
大道具製作=(株)つむら工芸 / 小道具=(株)高津商会・水木 真司 / 演出助手=桑原 和彦 /
衣裳協力=東京衣裳(株)大阪支店・水木 真司 /
協力=牛深市商工観光課・大矢野町観光商工課・口之津町歴史民俗資料館・本渡市歴史民俗資料館 /
尾上 秀代・寺岡 タツ子・富岡 久夫・野堀 富士栄 /


主催 兵庫県立尼崎青少年創造劇場

2000年(平成12年)
6月2日~7日 ピッコロシアター大ホール
6月13日    出石町文化会館ひぼこホール
7月14日    市川町文化センター
 

平成12年度芸術文化振興基金助成事業